セクション2: 経済・市場環境
押さえておくべき重要なポイント
AIブーム
テクノロジー・セクターの優位性が高まることにより、AI関連への支出が世界のマクロ経済見通しを左右する最大の要因となっています。2024年以降、米国のGDP成長の1ドル分あたり64セントがソフトウェアおよびハードウェアを含むテクノロジー支出によるものです。中でもハードウェアに関する支出は特に好調で、米国GDPに占める割合がほぼ2%から3%超へと上昇しており、これは年間数千億ドル規模に相当する大幅な増加を意味します(図表1参照)。こうした動きは、そうでなければ得られなかったであろう強固な土台を世界経済にもたらしており、成長は来年にかけても継続する見込みです。また、半導体需要の急増は特定のインフレ項目を押し上げており、ブルームバーグによると、2026年年初来で米国のソフトウェア・周辺機器サブ・インデックスは年率換算で約50%のペースで上昇しています。
原油価格の高止まり
世界経済は、依然として高止まりする原油価格への対応を迫られています。紛争に起因した高値からは後退しているものの、依然として高位な水準での推移が長期にわたるとみています。その背景としては、1.中東における継続中の紛争をめぐる先行き不透明感、2.被害を受けた産油国の生産再開ペースに対する懸念の再燃、3. 米国を含む他地域での増産ペースが比較的緩やかであること、の3点が挙げられます。主要国の多くでは、総合インフレ率がすでに急激に上昇しています。エネルギー価格の上昇に遅行してもたらされる波及効果が幅広い商品・サービス価格に及ぶにつれ、コア・インフレは今後数四半期にわたって上昇圧力にさらされ続ける見通しです。
底堅い個人消費
インフレという逆風が、米国および世界の消費者にじわじわと重くのしかかっています。名目ベースの支出は底堅さを維持していますが、その強さの多くはファンダメンタルズの改善というよりも、インフレ率の上昇を反映したものです。労働市場の緩みと賃金インフレの鈍化が重なる中、インフレ率の上昇は実質所得の伸びを圧迫しつつあります。しかし近い将来においては、消費者はこうした市場の変動を一時的なものとして受け流し、支出水準を維持する可能性が高いとみられます。私たちの予想に沿う形で労働市場が現在の水準近辺で安定するならば、米国はポジティブな見通しを維持できるでしょう。ただし、原油価格がさらに上昇した場合、支出への下押し圧力はより顕著なものとなる恐れがあり、エネルギーへの依存度が高い欧州やアジアの経済圏が最も大きなリスクにさらされることになります。
広がる金融引き締めへのシフト、ただしその動きは一様ではない
AI関連投資に支えられた景気拡大と依然として底堅い消費者需要を背景に、グローバルなエネルギー価格の上昇ショックを受け、主要中央銀行の多くは物価安定の確保に再び焦点を当てています。欧州中央銀行(ECB)と日本銀行はいずれも今年に入って利上げを実施し、インフレの上振れリスクに対処しています。米国経済は外部ショックに対してある程度の耐性がありますが、私たちは短期的にはインフレが高止まりする見通しへと予想を修正しました。現在の政策金利の据え置きスタンスは2026年末まで維持されると予想しており、ディスインフレの力が再び台頭してくる2027年初頭に、FRBは再度利下げに転じる可能性が高いとみています。
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出所
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