セクション5: 有望な投資アイデア
株式
ウィルス・ツァイ
有望な投資アイデア
- 配当成長株は、AIの二次的恩恵を受ける銘柄と並んで魅力的な投資対象といえます。このセグメントは、強固なフリー・キャッシュフロー、規律ある財務管理、そして安定した利益成長といった特性を備えており、市場のボラティリティが高まる局面においてその価値がますます高まっています。
投資のポジショニング
世界の株式市場をけん引する銘柄は絞り込まれてきており、依然としてAI関連投資が市場全体を不均衡なほど支配しています。AIという投資テーマは引き続き強力な構造的追い風となっていますが、市場はAI関連の設備投資が実際に持続的な株主価値の創出につながるかどうかを、より厳しく見極めるようになっています。
こうした環境下において、私たちはグローバルで柔軟なアプローチを重視しており、高クオリティな企業、持続可能なキャッシュフロー、そして業績の安定性を備えた銘柄を選好しています。AIのコア・エコシステムにおけるスケール、流動性、そしてイノベーション面での優位性を背景に、引き続き米国大型株を選好していますが、単純にベンチマークへのエクスポージャーを持つだけでなく、銘柄の選択眼がこれまで以上に重要になっていると認識しています。
米国小型株については、従来よりも慎重な見方に転じています。景気サイクル全体を通じた投資機会としての魅力は依然として残っているものの、高止まりする調達コスト、流動性の引き締まり、そしてマクロ環境への感応度の高さが、大型株と比較した小型株に対する慎重姿勢につながっています。
米国以外の先進国市場および新興国市場については、全体的に中立の見方を維持していますが、両市場ともに個別銘柄の選択による機会が増えているとみています。先進国市場では、銀行・防衛・一部の産業セクターに魅力的な投資機会を見出しています。新興国市場においては、AIに関連するサプライチェーンへのエクスポージャー、コーポレート・ガバナンスの改善、あるいは良好な国内ファンダメンタルズといった要因が、差別化された収益成長の道筋を生み出している国・地域に対して前向きな見方をしています。
投資テーマとしてAIが市場を支配している中においても、分散投資の意義は十分にあると考えています。具体的には、電化・産業機械・ロボティクス・一部のソフトウェアおよびネットワーク関連企業といったAIの二次的恩恵を受けるセクターを選好しています。これらは需要が改善しつつある一方で、市場の期待値がまだ過度に高くなっていない領域です。AIサイクルの次のフェーズでは、初期のインフラ整備への単なる参加ではなく、応用の広がりと収益化における規律が問われることになるでしょう。
債券
アンダース・パーソン
有望な投資アイデア
- 優先証券は、堅調なファンダメンタルズと限定的な新規発行という市場環境から恩恵を受ける見込みです。シニアローンは魅力的な利回りと良好な相対的価値を提供しています。
- 米国地方債は、ヘルスケアおよび高等教育分野への厳選投資を選好しており、満期16〜21年の領域に割安感があるとみています。
投資のポジショニング
グローバル債券市場全体に幅広い代替的な投資先が存在することを踏まえると、米国債は引き続き相対的な投資価値が低いと考えています。利下げの見通しが繰り返し先送りされ、長期金利も一定のレンジ内に留まると予想されることから、デュレーションをニュートラルに維持しつつ、信用リスクについてはバーベル戦略(短期・長期の両端に分散する戦略)を採用することを私たちは推奨します。
クレジット・セクター全般においては、高クオリティなセグメントを選好する一方、優先証券やシニアローンといったコア(国債など)に対するプラス(上乗せ)的な利回りが獲得できる債券セグメントを通じて高位なインカム・ゲインの確保を図っています。優先証券は市場の他の資産と比較して魅力的な利回りを提供しており、ファンダメンタルズおよびテクニカル(需給)面も引き続き良好です。シニアローンは短期金利が比較的高い水準に留まる中で恩恵を受ける見込みですが、低格付けのセグメントは高い債務返済コストによるリスクにさらされているため、個別銘柄分析(ボトムアップ分析)と引受基準への細心の注意が不可欠です。
こうした分析規律は、投資適格級・非投資適格級いずれのプライベート・クレジットにも同様に当てはまります。プライベート・クレジット市場についてはストレスの兆候を引き続き注視しながら、継続的な投資機会の発掘も行っています。最近のネガティブな報道や個別の信用イベントは、案件構造と強固なコベナンツ(財務制限条項)を重視した選別投資の重要性を改めて示しています。
投資適格級のパブリック・クレジットは、クレジット・スプレッドの縮小とデュレーションの長期化により、逆風に直面する可能性があります。一方、ハイ・イールド債のファンダメンタルズは引き続き良好です。また、新興国債券は、旺盛な需要、相対的に低いデフォルト率、魅力的な利回りを背景に、投資妙味が高いとみています。
ポートフォリオ構築テーマでも述べたとおり、米国地方債はグローバル債券市場の中で最も選好するセクターの一つとして際立っています。堅調なファンダメンタルズと力強い需要がその背景を支えています。
不動産
チャド・フィリップス
有望な投資アイデア
- プライベート不動産およびパブリック不動産の双方において、シニア・ハウジング(高齢者向け住宅)、メディカル・オフィス(医療系オフィス)、データセンターなど、魅力的なインカム・ゲインを提供し需給特性を持つセクターに注目しています。
投資のポジショニング
プライベート不動産市場の継続的な回復に対して、引き続き強気の見方を維持しています。全体としては、よりディフェンシブな市場領域を選好しており、インカム(収益)の創出と安定性に焦点を当てる戦略が適切と考えています。もっとも、不動産セクター全般では今後数四半期にわたってキャピタル・ゲイン(値上がり益)の拡大も見込んでいます。
過去数四半期からの小さな変化として、不動産エクイティとデットの選好バランスが挙げられます。局所的にはエクイティ投資へと振り子が振れると予想していましたが、それは大規模には実現しませんでした。現時点では、依然として高止まりしている金利環境、相対的に優れたリターンの見通し、そして守りを重視したポジショニングへの注力を踏まえ、不動産デットを若干選好する姿勢を取っています。
セクター別では、底堅いセグメントを選好しています。具体的には、ヘルスケア分野、特に米国のアウトペイシェント(外来患者向け)医療施設やシニア・ハウジングが挙げられます。これらは新規供給の限定性、人口動態上の追い風、そして堅調なファンダメンタルズの恩恵を受けています。また、食料品スーパーを核テナントとするリテール(商業施設)も好調なリターンを生み出しており、注目しています。リテールへの投資テーマは米国で最も強く機能していますが、欧州やアジアにも機会があるとみています。
その他の投資機会としては、米国のセルフ・ストレージ(トランクルーム)や手頃な価格帯の住宅(アフォーダブル・ハウジング)、欧州やオーストラリアの学生向け住宅(スチューデント・ハウジング)が挙げられます。いずれも、堅調な需要動向の恩恵を受けています。
上場REITについては、純資産価値(NAV)は概ね適正な水準にあると評価しています。現在も銘柄選択が重要な市場環境が続いており、シニア・ハウジング、データセンター、産業用不動産(インダストリアル)を中心に注目しています。
インフラおよびリアル・アセット
ジェシカ・ベイリー
有望な投資アイデア
- パブリック市場では、急加速する収益成長をもたらす電力公益事業に注目しています。プライベート市場では、クリーン・エネルギー発電、エネルギー貯蔵、データセンターへの投資を選好しています。
投資のポジショニング
AIの普及拡大、エネルギー需要の急増、そしてデータセンター建設の急速な拡大は、いずれもインフラ投資にとって大きな追い風となっています。これはパブリック/プライベートの両市場にわたり、また株式・債券の双方に該当します。また、インフラやリアル・アセット(実物資産)は、その多くが生活必需サービスを担う性質を持つことから、堅固なファンダメンタルズ、旺盛な需要、高い耐性、そしてインフレ・ヘッジとしての潜在力を備えています。
インフラおよびリアル・アセットの株式投資においては、引き続き豊富な機会が存在すると考えています。特にパブリック市場では、上場インフラが広範な株式市場と比較して割安な水準で取引されています。プライベート市場では、相対的なバリュエーションの観点から、インフラ債券を適度に選好しています。
株式では、交通インフラ、電力送配電、規制対象公益事業、そしてサステナブルなハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)のデータセンター・プラットフォームに注目しています。債券での投資テーマも同様で、天然ガス・タービンへの融資、太陽光発電の開発、省エネ投資など、多様なエネルギー・電力インフラにわたっています。さらに、柔軟な資金調達ニーズの高まりを背景とした非銀行主体による資金供給の拡大においても、構造的な機会が生まれているとみています。具体的には、特定資産のキャッシュフローに合わせて設計された、ドロー・ダウン繰り延べローンやコベナンツ・パッケージなど、従来の銀行では提供できない手法が挙げられます。
商業用不動産を対象とした「C-PACE(Commercial Property Assessed Clean Energy)融資」についても、着実な需要の伸びがみられます。当スキームは、魅力的な利回りと長期の元本償還スケジュールを提供するものであり、予測可能性が高く、金利変動のボラティリティに対する潜在的な耐性も期待できます。
農地は、差別化された収益獲得の可能性とインフレ・ヘッジの観点から、長期的に魅力的な投資先であることに変わりありません。ただし、一年生作物の収益マージンは引き続き縮小傾向にあり、特に米国においては、過去数年間の高水準を下回る状態が続いています。
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