セクション4: 2026年の5つの投資テーマ
- 分散投資のために、米国への投資は引き続き重要
最近の投資家との会話や、当社の『EQuilibrium』投資家調査によると、多くの投資家が、投資機会を広げるため、あるいは関税や地政学的リスクを懸念して、米国への投資を減らして他の地域に資産を移しているか、その計画中であることが明らかになっています。もちろん、定期的なポートフォリオのリバランスに異論があるわけではありませんが、一部の投資家は米国の好調なトレンドを見落としている可能性があるとも考えています
AIブームは今、一時的に勢いが落ちているようにみえるかもしれませんが、それはあくまで「一時停止」であり、「終わり」ではありません。生産性の向上、企業収益の底堅さ、そして税制・規制面での恵まれた環境は、引き続き米国の資産を後押しする要因となるはずです。米国の大型株は、世界の株式市場の他の分野と比較してバリュエーション面でいくつかのハードル(例:割高感など)に直面していますが、前述のような追い風に加え、企業が設備投資を積極的に続けていることから、相対的に他の市場を上回るパフォーマンスが期待できると当社は考えています。また、株式だけが米国投資の選択肢ではありません。米国経済の力強い成長と多様性を背景に、不動産、プライベート・クレジット、プライベート・アセット・バック・ファイナンス、プライベート投資適格債券など、プライベート市場においても魅力的な投資機会が広がっています。
- 中核的な配分対象とするべきオルタナティブ・クレジットとプライベート・エクイティ
これらの市場への関心は高まっているものの、多くの投資家はプライベート市場への投資配分がまだ十分ではない、と私たちは考えています。すぐに換金できない「流動性リスク」を受け入れることで、より高いリターン/インカム/リスクの分散効果が期待できます。投資対象としては、通常の債券市場の枠を超えた「オルタナティブ・クレジット」分野が広がっています。具体的には、証券化商品(パブリック/プライベート)、不動産、インフラ・デット、担保付ローン債務(CLO)、および商業用不動産評価クリーンエネルギー(C-PACE)ファイナンスなどの領域が含まれます。また、最近スプレッド(利回り上乗せ分)が拡大したシニア・ローンにも引き続き注目しています。
メディアでは、プライベート・クレジットの安定性や業界の潜在的なリスクへの懸念が指摘されています。確かにリスクの高い一部のセグメントでは、引受審査やローンのストラクチャーに課題がみられますが、投資プロセスにおいて厳格な引受審査と案件選定の厳選が徹底されている限り、魅力的な機会は依然として存在します。信用力が投資適格級に満たないセグメントでは、ミドルマーケット向けのダイレクト・レンディングを重視しています。また、特にプライベート・アセット・バック証券(プライベートABS)については、相対的な価値が高く、供給が限定的で、安定的なキャッシュ・フローが見込まれることから、新たにプライベート債券(投資適格級)を当社のヒートマップに追加しました。
プライベート・エクイティも魅力的です。世界的にM&A活動が活発化する一方、資金調達環境は厳しさを増しており、経験豊富な運用会社は資金をより慎重かつ賢明に運用しています。投資スタンスとしてはリスクの高いジュニア・キャピタルよりもシニアを重視し、セカンダリー市場においてはシングル・マネージャーの投資案件を選好しています。どの分野において、投資先の厳選と信頼できる運用パートナーの選択が極めて重要となるでしょう。ストラクチャーや契約条項(コベナンツ)の精査の重要性は、以前にも増して高まっています。
- 米国地方債は依然として新たな強気相場の初期段階にある
厳しかった2025年(過去最高水準の新規発行量を記録)を乗り越え、米国地方債市場は2026年初頭から回復基調に入っており、この流れは今後も続くとみられています。新規発行量は引き続き高水準にあるものの、満期を迎えた債券の元本が投資家に戻ってくることやクーポンの増加に加え、実質的なインカム収益を求めてキャッシュを再投資する投資家の需要が高まっていることから、需給面での強固な下支えが期待できます。
同市場の利回りは相対的に高く、ファンダメンタルズ(基礎的条件)も良好です。州・地方政府の財政状況は非常に健全な状態にあります。米国地方債のイールドカーブ(利回り曲線)は米国債よりもスティープであり、デュレーション(金利感応度)リスクを取ることが合理的な数少ない領域の一つとなっています。信用格付けが投資適格級、非投資適格級のいずれの領域においても、米国地方債には魅力的な投資機会があると私たちは考えています。
- プライベート不動産市場の回復は、まだ始まったばかり
数年にわたる価格下落、一部市場における供給過剰、そして金利上昇を背景とした需要の低迷を経て、2025年にはプライベート不動産市場において価格の回復と新規供給の抑制がみられました。また、世界の投資家がこの市場に広がる投資機会を認識し始めるにつれ、需要と取引活動も加速し始めています。
実際、世界のプライベート不動産のリターンは7四半期連続でプラス傾向を示しています。この背景には、取引量の増加と新規建設件数の急減が寄与しています。重要な点として、同市場のトータル・リターンの上昇はこれまでのところ主にインカム・リターン(賃料収入等)の成長によってもたらされています。保有資産そのもののキャピタル・アプリシエーション(不動産評価額の上昇)はまだ本格化していませんが、今後はそれが加速し、追加的な追い風となることが期待されます(図表参照)。
- AIブームとエネルギー革命から派生する二次的な投資機会を探る
米国の大型テクノロジー株やデータセンターは、AIブームの初期段階をけん引してきました。 その勢いにはやや陰りがみえ始めているものの、AIの成長やそれに伴うエネルギー需要の 拡大が終わったとは到底考えられません。むしろ、こうしたトレンドがもたらす二次的・将来的 な影響に目を向けるべき時期が来ていると考えます。
公益事業や電力送電網を含む幅広いインフラへの投資は、エネルギー需要の増大から恩恵 を受けると見込まれます。またAIの成長とエネルギー転換は、インフラ整備に関連する資産 担保証券、不動産、米国地方債においても直接・間接的な投資機会を生み出す可能性があり ます。さらに、米国内の政治的な逆風にもかかわらず、再生可能エネルギーへの世界的なシ フトと省エネ化の流れは今も続いており、多様な電力の確保が不可欠となる中、投資機会を 生み出し続けています。
より長期的な視点では、AIとエネルギーに関連したさらに広範なトレンドとリスクにも注意を払 う必要があると考えます。具体的には、既存の送電網の改修や新規電力網の整備の必要性、 データセンターの増加が水資源の逼迫・不足問題と交差する点、そしてAIの利用拡大が雇用 動向や企業のガバナンス方針に与える影響など、いずれも今後の動向を注視すべき重要な テーマです。
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