要旨
- ボラティリティの上昇や一部リスクの高まりにもかかわらず、世界の金融市場の多くの領域は概ね適正な評価水準にあるようにみえ、投資上の課題となる可能性があります。
- 投資家には、投資対象の領域を広げ、市場全体でのより徹底した分散投資を図る一方で、米国地方債やプライベート不動産などの分野における市場の反転局面を活かすことも重要であると考えます。
- また、米国大型株、インフラ、プライベート・クレジットなど、一部の市場セグメントにはさらなる上昇余地があるとみています。
セクションごとの投資見通し
- セクション1: 投資領域の拡大
- セクション2: 経済・市場環境 -押さえておくべき重要なポイント
- セクション3: 資産クラス別の「ヒートマップ」
- セクション4: ポートフォリオ構築におけるテーマ
- セクション5: 有望な投資アイデア
投資領域の拡大:材料織り込み済み感の強い市場環境で投資家が注目すべきポイント
サイラ・マリク , 最高投資責任者
マーチ・マッドネス*とアカデミー賞には、どんな共通点があるのでしょうか?どちらも春を彩る愛すべき米国の恒例行事ですが、その魅力を高め、変化するトレンドや関心に応えるため、両者は対象範囲を拡大してきました。過去数十年の間に、全米大学体育協会(NCAA)の男子・女子バスケットボール選手権は、出場チーム数を48から68に増やしました。一方、アカデミー賞は2002年に「最優秀アニメーション映画賞」が追加され、2009年には「最優秀作品賞」のノミネート数を5作品から10作品に増加しました。そして今年は、文字通り受賞者の「網」を広げ、新たな部門として、「キャスティング」の功績を称える部門も導入されました。
*バスケットボールの全米大学の頂点を決めるトーナメント。米国内で大きな注目を集めることから「マーチ・マッドネス(3月の熱狂)」と呼ばれる。
投資機会の広がりは、世界の金融市場においても顕著なテーマです。しかし、その影響の大きさは、職場の同僚と行ったバスケの試合結果予想で外れてしまうことや、映画賞のノミネートを逃すことといった、日常にある「残念な出来事」とは比べものになりません。リターンの最大化とリスクの効果的な管理を両立する長期ポートフォリオの構築は、常に困難を伴う作業ですが、経済・政治・技術の各分野で大きな変革が同時進行する時代においては、その難しさはかつてないほど増しています。
しかし、足元のボラティリティの高まりにもかかわらず、市場は全体として効率的な状態を維持しており、想定されるリスクの多くはすでに価格に織り込まれています。その証拠として、クレジット・スプレッドの縮小、人工知能(AI)関連テーマへの資金集中、株式バリュエーションの高止まりといった指標が挙げられます。こうした状況は、相対的な割安感や持続的な上昇余地を持つ投資機会の特定をより困難にしており、ポートフォリオの分散化、インカムの確保、あるいはリターンの最大化といった役割を担うのに最も適した次の資産クラスやセクターを見極めることに、多くの投資家が苦慮している状況です。
また、勝者が従来の通説通りとなる保証もありません。シンデレラ・チームが第1シードを番狂わせで下したり、下馬評の低いノミネート候補者が本命を押しのけてレッドカーペットを歩いたりするように、成功はしばしば前評判を覆すものです。
同様に、最適なポートフォリオ構築とは、これまで選好されていたすべてのテーマ/セクター/サブセクターを手放すことを意味しません。直近でアウトパフォームしたカテゴリーや、バリュエーションが割高にみえるカテゴリー、あるいは近い将来の材料が現在の価格にほぼ織り込まれているように思えるカテゴリーであっても、魅力的な投資機会は依然として存在しえます。
その好例が米国資産です。関税問題や地政学的な混乱を背景に、一部の機関投資家はグローバルな資産配分において米国資産のウェイトを引き下げ始めています。しかしそうした懸念があるとはいえ、私たちは堅実なファンダメンタルズと構造的な優位性に基づき、特定の米国資産において依然として魅力的な投資価値を見出すことができています。具体的には、進行中のAIブームから直接恩恵を受ける企業(大型成長株)や、AIに関連した間接的な投資(発電・インフラ資産など)が挙げられます。
債券分野では、シニア・ローンや優先証券など、健全なクレジット特性を持つ高利回りセクターを選好しています。また、最近持ち直しの勢いが増している2つの注目資産クラス、すなわち米国地方債とプライベート不動産についても引き続き強気な見方を維持しています。さらにオルタナティブ投資の分野では、プライベート・エクイティおよびプライベート・クレジットの特定領域、とりわけ厳格な審査・引受プロセスによってリスクを抑制した投資戦略に注目しています。
これらのテーマをはじめとする多くの考察について、当資料を通じて2026年第2四半期以降に向けて私たちがいかに広く投資機会を探っているかを皆さまにご紹介できることを嬉しく思います。
引き続きこちらをご覧ください。
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