オルタナティブ・クレジットは、約1世紀にわたって経済成長を静かに支え続けてきました。現在、世界のプライベート・クレジットの運用資産残高は2兆ドル近くに達し、世界の金融において最も重要な存在の一つとなっています。本レポートは、機関投資家と富裕層の個人投資家の双方を対象としており、このアセットクラスとは何か、なぜその成長を支える構造的な要因がこれまで以上に強くなっているのか、そしてあらゆるタイプの投資家がどのようにして意味のある配分を構築できるのか、などについて解説しています。
本レポートが解説する質問
- オルタナティブ・クレジットの成長を後押ししている要因は?
- オルタナティブ・クレジットはポートフォリオにどのようなメリットをもたらすのか?
- どのような投資家がオルタナティブ・クレジットを検討すべきか?
- 投資家はオルタナティブ・クレジットにどのように配分すれば良いのか?
オルタナティブ・クレジットの成長を後押ししている要因は?
オルタナティブ・クレジットには長い歴史的背景があり、米国におけるプライベート・レンディングは1930年代までその起源をさかのぼることができます。これまでも、公開市場外で企業やインフラの資金調達を支える役割を一貫して担ってきましたが、世界金融危機(GFC)がこの分野を主流の資産クラスへと変貌させる転換点となりました。銀行に対する規制が強化されたことで、既存の貸し手は市場の広範な領域から撤退を余儀なくされ、構造的な空白が生まれました。この空白を、ノンバンク系の融資機関が徐々に埋めていく形で成長を遂げてきており、その空白は今なお拡大を続けています。
オルタナティブ・クレジットはポートフォリオにどのようなメリットをもたらすのか?
オルタナティブ・クレジットとは、個別交渉によるローンや、従来の債券市場の枠外にあるその他の非公開クレジット投資を指します。こうした投資商品は通常、満期まで保有され、特定の資産やキャッシュ・フローによって担保されています。投資家にとってオルタナティブ・クレジットは、以下のような複数のメリットを兼ね備えています。まず、利回りの向上が期待できます。また、公開市場とは異なる動きをするため、真の意味での分散効果が得られます。さらに、コベナンツ(財務制限条項)や担保といった強固な構造的保護が備わっており、安定した収益も見込めます。加えて、多くの戦略では変動金利型であるため、インフレに対する自然なヘッジ機能も期待できます。
どのような投資家がオルタナティブ・クレジットを検討すべきか?
オルタナティブ・クレジットは、投資家それぞれの目標や投資期間、必要とする流動性に応じて、幅広い投資家に適した投資先となり得ます。保険会社や年金基金は、長期にわたるプライベート・クレジットを負債とのマッチングに活用できることから、この資産クラスの自然な投資家層といえます。また、エンダウメント(大学基金など)や政府系ファンドも、長期的な投資期間を活かして、オルタナティブ・クレジットが持つ幅広い特性を最大限に活用することが可能です。さらに近年では、エバーグリーン・ファンドやインターバル・ファンドといった投資形態(ビークル)が普及したことにより、この資産クラスへのアクセスは以前よりもはるかに容易になっています。その結果、確定拠出年金プランや富裕層の個人投資家、比較的小規模な機関投資家なども、オルタナティブ・クレジットへの投資に参加できるようになってきています。
投資家はオルタナティブ・クレジットにどのように配分すれば良いのか?
オルタナティブ・クレジット・ポートフォリオを構築する際は、まず投資家自身の投資目的、投資期間、収益ニーズ、そしてリスク許容度を明確にすることから始まります。保守的な投資家は、投資適格のプライベート・クレジットやインフラ・デットを中心に据えるとよいでしょう。一方、より高いリターンを追求する投資家は、ダイレクト・レンディング、不動産デット、CLO(ローン担保証券)トランシェなどを組み合わせることが考えられます。さらに、米国と欧州のプライベート・クレジットを組み合わせることで地域的な分散を図れば、ポートフォリオの強じん性を一層高めることができます。
本レポートでは、オルタナティブ・クレジットに関する以下の3つのよくある誤解についても検証しています。
- オルタナティブ・クレジットは本質的にリスクが高いという誤解。
- オルタナティブ・クレジットは最大規模の機関投資家だけが投資対象とする資産クラスであるという誤解。
- オルタナティブ・クレジットは最近登場した新しい投資アプローチであるという誤解。実際には、1世紀にわたってさまざまな経済サイクルを経て検証されてきた実績のある投資アプローチ。
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