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不動産

グローバル不動産投資における地理的分散の重要性

モハメド・アリ
ディレクター、不動産部門、欧州戦略調査チーム

本レポートは、Nuveenが投資家の皆様のために作成したリアルアセット特集の第2弾となります。リアルアセット特集のシリーズは、お客様から最も多くいただくご質問を取り上げ、不動産、農地、林業といった資産クラスに関する深い知見へと発展させたものです。これらの分野において、私たちNuveenは長年にわたり信頼される存在として評価されてまいりました。本シリーズでは、年間を通じて新たな視点を随時追加してまいりますので、ぜひ定期的にご覧いただき、探求を続けていただければと思います。

本レポートでは、Nuveen Real Estateのリサーチ専門家が、不動産投資における地理的分散の戦略的な意義について考察します。米国、欧州、アジア太平洋という3つの主要な投資対象地域にわたる独自のリサーチをもとに、単一の国内市場に限定せず投資範囲を広げることが、ポートフォリオのボラティリティ低減、リスク調整後リターンの向上、そしてより広範なグローバルな投資機会の獲得につながる可能性について解説します。

さらに、グローバルに分散された不動産ポートフォリオを構築する際に伴う複雑な要素についても、取り上げます。具体的には、通貨リスクや流動性に関する考慮事項、そして市場やセクターごとに異なるリスクプレミアムなどが挙げられます。

主なポイント

自国市場を超えて考えることの意義

不動産は、多くの機関投資家のポートフォリオにおいて確固たる地位を築いてきました。しかし、この資産クラスは今なお誤解されがちです。特に、流動性の高い金融市場に慣れた投資家の視点からみた場合、その特性が正しく理解されていないことが少なくありません。不動産は固定的かつ物理的な資産であるため、現地の政治、規制、建築技術、需要の傾向といった深い地理的知識が求められます。また、取引には長い時間がかかり、相応のコストも発生することから、長期的な視点を持つ投資家にこそ恩恵がもたらされる資産だと言えます。

こうした特性は、しばしば制約と見なされがちですが、実は不動産が持つ永続的な分散効果の土台となっています。同資産クラスの独自性の一つは、その二面性にあります。すなわち、債券的なインカム特性と株式的な価値特性を併せ持っているという点です。この二面性こそが、不動産の分散効果を支える根本的な要因となっています。

本レポートでは、不動産の投資配分における地理的分散の戦略的意義について、Nuveen Real Estateが独自に行った米国、欧州、アジア太平洋の3つの主要投資対象地域にわたる調査・分析結果を踏まえながら考察します。グローバルに分散された不動産ポートフォリオを構築する際に得られる説得力のあるメリットと、それに伴う本質的な複雑さの両方について検証し、投資家の皆様が最適な分散と管理可能な複雑性との間でバランスを見出す一助となることを目指しています。

投資可能なグローバル不動産市場の規模は約12.5兆米ドルとされており、その内訳は決して均一的なものではありません(下記図参照)。この市場は、大きく3つの地域圏によって構成されています。まず、市場全体の40%以占める米州(南北アメリカ地域)です。次に、欧州・中東・アフリカ地域が約30%を占めています。そして、アジア太平洋地域が4分の1以上を占めています。対象を先進国市場のみに絞り込んでも、市場規模は12.5兆米ドルから11.1兆米ドルへとわずかに縮小するだけであり、このことは、投資可能な不動産ストックの大部分が、比較的少数の成熟した経済圏に集中していることを裏付けています。

地域別の世界の投資対象不動産市場を示す2つのドーナツチャート。新興市場を含めた総額は12.5兆米ドル、先進国市場のみでは11.1兆米ドルであり、いずれの市場においても南北アメリカが最大のシェアを占めている。
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