投資見通し
2025年の5つのテーマ
セクション4: 2025年の5つのテーマ
- 公募債・私募債市場のリターンを押し上げるのはリスクフリー金利でなく、相対的なスプレッドの差異と銘柄選別。
- デュレーション重視の投資家には、依然として米国地方債を推奨。
- 不動産市場のトレンドは良好。
- 世界は分断化したとしても市場はなお相互依存的。
- 電力需要は発電能力を上回る勢いで伸びており、政治的な変化の中で機会が出現。
この6カ月間、市場を全く見なかった人がいたとしても、大した変化はなく見逃したものはあまりない、と思うかもしれません。6月半ば現在、S&P500種株価指数は年初来わずかに上昇しているだけで、10年国債利回りもわずかに低下しているに過ぎないからです。しかし、これらの主要な指標以外に目を向けると、グローバルなマルチ・アセットの投資家にとって、今後の道筋が2025年当初の予想とはかなり違う様相を示していることは明らかです。以下について考えてみましょう。
- 米ドル(DXYインデックス)は今年初め、OPECが原油の輸出を禁止してインフレ率が9%に達した1973年以来最大の下落幅を記録しました。米ドルは年初に過大評価されていましたが、急激なドル安によって投資家はアロケーションを再考しています。 通商政策の不確実性と米財政の行方について、グローバルな投資家の間で米ドル資産への信頼は失われているのでしょうか?
- 米国以外の先進国株は米国大型株に対して米ドル・ベースで1993年以来最大のアウトパフォームとなっており、現地通貨ベースでも、米国以外の投資家にとっては良好なパフォーマンスを記録しています 米国株式市場は長期的なアンダーパフォームの時期に向かっているのでしょうか?
- 米国地方債はコア債券市場に対して過去2番目に大幅なアンダーパフォームとなり(最大のアンダーパフォームは2020年)、金利のボラティリティが急激に高まった4月以降、苦戦が続いています。 価格の下落はファンダメンタルズの悪化を反映しているのでしょうか、それとも米国地方債は過小評価されているのでしょうか?
上述の1番目と2番目の質問に関しては、投資テーマ4をお読みください。2025年の逆風とムーディーズによる米国債の格下げにもかかわらず、米ドルは依然として準備通貨として最強の座に君臨しています。為替取引高の規模や資本市場の規模と流動性、市場の深度と開放度など、いくつかの面で優れた特性を示しているためです。2025年はグローバルな分散投資の重要性が浮き彫りになりましたが、投資家は米国と米国以外の地域配分を急激に変えようとしない方がよいでしょう。
当社はこうした見方を反映して、今四半期に米国大型株を格上げしました。インデックスレベルのバリュエーションは「割安」には程遠いかもしれませんが、増益率の見通しは今年初めのピークであった15%からもっと達成可能な水準である10%に下がっています(図表2)。欧州や中国では今年に入って利益成長が上向いていますが、それでも米国企業の利益成長期待は欧州と中国を上回っています。
3番目の質問については、当社は2番目のテーマを今も確信しています。当社では、市場の低調なパフォーマンスの理由は主に、過去に比べて新発債が増えていることと、税政策の見通しが変動していることだと考えます。その結果、長期的な米国地方債投資家にとって好機が訪れています。足元の開始時利回りは、過去10年に対して97パーセンタイルの位置にあります(図表3)。当社は依然として、債券ポートフォリオ全体における金利リスクと信用リスクのバランスを考えた配分とする必要があると考えますが、地方債はデュレーションのエクスポージャーを長期化する投資家に適切な見返りを提供します。とはいえ、直近および今後の米国政府の政策変更は特定セクター(例えば高等教育)に影響しており、こうした利回り機会を活用するにはクレジット・リサーチとアクティブ運用が不可欠です。
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