TIAA一般勘定の見通し
Nuveenの「EQuilibrium」調査によると、地政学的リスクや市場の変動に対する懸念が継続しているにもかかわらず、保険会社を含む機関投資家は、2025年にはマクロ経済の不確実性が低下するとみています。長期投資家はどのようにノイズを気にせずにいられるのでしょうか。
米国の長期投資家は、特にこの年初から見られるような政策決定をめぐる不確実性や不安定性がある場合、間違いなく困難に直面しますが、それでも当社は、将来から目をそらすことなく、資金をフルに投資して、魅力的なリスク調整後リターンを確実に生み出していく必要があります。
この質問は、2024年6月にお話したレジリエンスと「全天候型」ポートフォリオの構築についての話題に通じるものがあります。TIAAにとってそれは、当社のリスク許容度の範囲内で資産を運用すること、そして業種や地域、さらには個々の投資の中でも十分に分散されたポートフォリオを構築することを意味します。
当社では現在、インフレ率が上昇傾向にあり、高金利環境が継続するとみています。この状況に対応するため、当社では市場の乱高下にも耐えられる十分な資本を維持するとともに、市場の変動によってインフラやストラクチャード・クレジットなど特定の資産クラスに格好の投資機会が訪れたときに、機敏に対応できるようにポートフォリオの流動性を増やしています。
当社は継続的にさまざまなストレス・シナリオの下でポートフォリオを評価し、その結果に基づき、当社の完全子会社である資産運用会社Nuveenと緊密に連携して、リスク低減に取り組んでいます。こうしたディフェンシブな姿勢を継続することは、一般勘定(GA)投資ポートフォリオの長期的な資本保全とインカム収益の創出力にとって極めて重要です。
機関投資家がプライベート市場にエクスポージャーを拡大、分散化しようとしていることは、調査からのもう一つの重要な発見でした。GAはどのようにして新たなプライベート市場の投資機会を見つけているのでしょうか?
確実に言えることは、TIAAが競合他社よりはるかに先んじて、長年にわたりプライベート市場で運用を続けてこられたのは、当社の負債が非流動的な性質を持つこと、ならびにNuveenの広範なプラットフォームへのアクセスがあったからです。
投資家がプライベート市場に投資エクスポージャーを拡大しようとしていることは意外ではありません。これらの市場は成長しており、差別化されたリターンとポートフォリオの分散という魅力的な投資機会を提供しているからです。
問題は、これらの投資は非流動的だということです。そうした非流動性を吸収できるキャパシティがなければ、どのようなポートフォリオにおいてもこれらの戦略を拡大するのは難しくなります。
TIAAにはいくつかの優位性があります。当社の負債は比較的「固定的」であり、負債重視型の投資家である当社は、魅力的なリターン・プレミアムを得るために流動性の低いプライベート資産戦略に資金を配分することができるのです。
Nuveenも当社にとってもう1つの利点です。Nuveenは、さまざまなプライベート市場戦略において、深い専門知識とスケーラブルな運用体制の構築に注力してきました。Nuveenの同分野におけるネットワークと独自の投資案件のソーシング能力を活用することで、当社はプライベート市場への投資を着実に拡大してきました。これらの投資はさまざまな経済サイクルを通じて、非常に優れたパフォーマンスを示しています。
不動産デットは、プライベート債券投資の中で依然として人気があります。不動産市場の回復に関して、GAは今後どのような展望を持っているのでしょうか?
この質問に対してはさまざまな見方があります。一つは、不動産は常に循環的な資産クラスであり、過剰供給の時期を経て、最終的に供給は吸収され、市場は安定するというものです。もう一つは、私たちは現在、特にオフィススペースに関して、コロナ禍後の構造的かつ恒久的な変化の真っただ中にいるというものです。これに関して、今、オフィスを住宅に転用するプロジェクトが多数進行していますが、それらの投資リターンはまだ十分に検証されていません。
当社の見解は、不動産では立地条件がすべてでありすべての不動産が同じでないという考え方と一致します。オフィスセクターは低迷していますが、他の不動産セクターは改善しつつあり、小売セクターでさえ回復の兆しをみせています。金利上昇に伴い、この新たな環境に合わせてバリュエーションも調整が進んでおり、多くの好機を捉えた取引が活発化し、このセクターに資金が戻ってきています。
負債重視型の投資家である当社には、流動性の低いプライベート・アセット戦略に資金を配分することで、魅力的なリターン・プレミアムを捉える機会が生まれています。
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ウィーナーも、TIAA一般勘定チームの他のメンバーも、Nuveenのサード・パーティー向けの戦略に関するポートフォリオ管理の意思決定には一切関与していません。