2024年12月26日
債券
課税地方債:
課税地方債:
季節的に堅調を予想
2024年第3四半期(7-9月期)には米国債のイールドカーブがスティープ化し、投資家の間でデュレーションを長期化する動きが広がりました。市場の注目が、経済指標と米連邦準備制度理事会(FRB)がソフトランディングを目指していることに集まる中で、局所的な高ボラティリティが続きました。課税地方債の新規発行は依然低迷していますが、目先のバリュエーションは良好で、地方債の供給は減少傾向にあるうえ、米FRBのさらなる利下げ観測を受けて需要も高まっているため、地方債は今後アウトパフォームすると思われます。足元のバリュエーションは長期投資家にとって魅力的な買いの機会を提供しているといえるでしょう。
重要なポイント
- 課税地方債は米国債利回りの低下に伴って上昇したが、クレジット・スプレッドの動きは安定していたため、今後に向けてバリュエーションが魅力的となっている。
- 経済見通しが不透明な中、地方債のクレジットの回復力は、ポートフォリオを強化できる。
- FRBの利下げによってイールドカーブがスティープ化する中、投資家はデュレーション長期化を選好。
見通し
インフレ懸念は過去のものに
全体的なコアインフレ率は、いくつかの要因によって、FRBが目標値とする2️%に近付いています。FRBによる金融引き締めは労働市場に緩和圧力をもたらし、住宅市場は大幅に沈静化、世界の経済成長は全体的に減速しました。
労働市場では、雇用創出ペースはコロナ禍前の趨勢並みまで落ち込み、失業率が若干上昇しました。これは一部、働きざかりの労働参加率が20年以上ぶりの最高水準をつけ、サプライサイドの動きが上向いたためです。しかし雇用も失速したため、失業期間が長期化しています。最も重視される先行指標の一部は悪化しており、今後数四半期は失業率が上昇して経済成長全体に重しになると予想されます。
こうした環境下、FRBが利下げサイクルを開始したことは合理的だといえます。しかし、FRBの利下げサイクルが50bpsという大幅な利下げで開始したにもかかわらず、市場では今後さらなる利下げに向けた過剰な期待が見られます。FRBは今後一定のペースを維持したい意向を示しており、おそらく各会合では、停止または加速する柔軟性を維持しつつ25bpsの利下げとすることになると思われます。そうすることで、FRBが中立金利とみなす3.25-3.50%近傍に向かうまで、利下げの影響を見極める猶予が生まれるでしょう。当社では、2025年半ばにこの水準に到達するとみています。
経済環境
- 第1四半期以来、インフレ率は低下基調。年末までには、コア・サービス・インフレ率と住宅費が双方とも低下し、コアPCEインフレ率はさらに低下するとみられる。
- FRBはフェデラル・ファンド(FF)金利を525bps引き上げた後、今年9月の会合で50bps引き下げた。当社では来年夏季までに毎会合で25bpsずつの利下げを予想し、ターミナルFF金利はインフレと賃金、雇用データ次第とみている。
- 米国は底堅い経済成長を示しているが、消費は減速し始めている。景気に影響を及ぼす要因は、失業率、消費支出、家計の余剰貯蓄水準など。資本市場では景気後退リスク懸念は後退しているが、当社は引き続き今後の展開を見守る。
- 米国大統領選挙と今後の利下げタイミングをめぐる不透明感が引き続き、金利市場での短期的なボラティリティの原因となっている。
地方債市場環境
- クレジットは引き続き堅調で、レイニー・デー・ファンド(不慮の事態に備えた準備金)は潤沢な水準にある。政府は歳入の正常化に向けて調整している。
- 地方債のデフォルトは引き続き低水準で稀であり、特異であると予想。
- 課税地方債の供給は2023年に比べるとかなり安定している。当社は、米国大統領選挙結果が明らかになる11月第1週後は供給が減速すると予想。
- より長くより高いイールドを求めてデュレーションの長期化が選好され、投資家はその波に取り残されたくないと考えている。
- 今年の地方債の相対パフォーマンスは良好。
- スプレッドはタイト化しているが、インカムゲインの上昇に基づいて魅力的なリターンが期待できる。
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