2025年4月22日
債券
課税地方債:
課税地方債:
回復の兆し
2024年第4四半期(10-12月期)には、インフレが根強く残り、米連邦準備制度理事会(FRB)の政策見通しが変化したために米国債利回りが全体的に上昇、イールドカーブはフラット化して、金利が上昇する中でデュレーションの長い課税地方債は社債と国債をアンダーパフォームしました。米国債は今後ボックス圏推移が予想される中で、目先のバリュエーションが魅力的な課税地方債のパフォーマンスは改善が予想されます。そうした環境下、足元のバリュエーションは長期投資家にとって魅力的なエントリー・ポイントを提供しているといえるでしょう。
主なポイント
- 課税地方債は、米国債利回りの上昇によって絶対値でマイナスリターンとなったが、基本的なクレジットストーリーに変わりはなく、長期投資をサポート。
- 地方自治体のバランスシートは依然として健全な状態にあるが、特異なクレジット・イベントによる影響が発生した場合に備えてアクティブに管理することが重要。
- 2024年のFRBによる利下げに続き、イールドカーブのさらなるスティープ化に備え、デュレーションの長期化の検討が必要。
- さまざまな資産クラスでクレジット・スプレッドは今までにないほどタイト化しており、ビルドアメリカ債(BAB)が追加的な利回りと共にクオリティの高い魅力的な機会を提供
見通し
地方債は季節的に堅調を予想
第 1 四半期を迎えるにあたり、課税地方債市場は有利な位置付けにあります。
金利の高止まりが続く中で、供給は抑制されており、事前繰上償還の量は2020年と2021年の水準と比較して依然として低調です。供給が少ない状況が続く一方で、1月には満期償還や期限前償還(コール)、クーポン利払いが加速し、それも債券価格を下支えする需給要因となる可能性があります。2025年を通して課税地方債の供給は需要を下回ると当社は予想しています。
クレジット・スプレッドは、A格付け地方債のオプション調整後スプレッド(OAS)が77bps(ベーシスポイント)と、比較的魅力的な水準にあります。クレジット市場では堅調な経済状況と利回りを求める動きに反応してスプレッドは総じてタイト化しましたが、課税地方債市場は同等格付けの社債に比べて依然として良好なスプレッドを提供しています。
クレジット・スプレッドのカーブは引き続き、絶対利回りと相対価値の面で魅力的です。2024年第4四半期になって金利見通しは変化していますが、課税地方債のスプレッドカーブは依然として、デュレーションの長期化と利回りを追求する投資家にとって投資妙味があります。課税地方債のスプレッドカーブはデュレーション12年までスティープ化しており、通常の長期債よりも高いインカムゲインが期待できる上、保有期間を通じて金利の安定または低下とクレジット・スプレッド縮小の組み合わせで追加的なトータルリターンを獲得できる可能性があります。ただし、12年超のデュレーションでは、こうした利点は減るため、より慎重な選別が必要であり、イールドカーブをアクティブに管理することが重要です。
2025年のテーマ
経済環境
- FRBは2024年にみられたインフレの低下基調が今後も続き、2025年は2.5%に向かっている。
- FRBは2024年後半に合計100bpsの積極的な利下げを実施。インフレが目標値に近づくにつれて、今後も利下げの動きが続くとみられる。
- 米国は底堅い経済成長を示しているが、当社は、失業率、消費支出、家計の余剰貯蓄水準などを注視していく。
- 資本市場ではリセッション・リスク懸念は後退しているものの、当社は引き続き今後の動向を注視する。
- 将来の利下げのタイミングと程度など、FRBの金融政策が利回り変動の要因となる可能性がある。
地方債市場環境
- クレジットは引き続き堅調で、歳入と準備金は潤沢な水準にある。
- 州政府は歳入の正常化に向けて調整している。
- 地方債のデフォルトは引き続き低水準で希であり、特異であると予想。
- 当社は2025年も新発債の供給が豊富で、5,000億ドルに近づくとみている。金利が高止まりする中で課税地方債の供給はより抑制され、地方債市場全体の約10%を占めると想定。
- より高い利回りが長く続く中、デュレーションの長期化が引き続き選好されている。
- 他のクレジット市場に比べて割安なバリュエーションにより、堅調な需要が続く。
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