2022年3月24日
ニュース
第2回ヌビ―ン・グローバル機関投資家調査
- 機関投資家が市場・気候・社会の変化をどのように捉えているかを調査
- 北米、欧州・中東、アジア太平洋地域の700の機関投資家(アセット・オーナー)および100のコンサルタント(うち44が日本の機関投資家)を対象に調査を実施
- 低金利・インフレ環境下でオルタナティブ・クレジットを選好
- 日本では他地域と比べて社会的投資に関心が高い
米国教職員退職年金/保険組合(TIAA) の資産運用部門であるNuveen LLC(本社 米国、CEOホセ・ミナヤ)の日本現地法人、ヌビーン・ジャパン株式会社(本社 東京都港区、代表取締役社長 鈴木 康之、以下「ヌビーン・ジャパン」)は、第2回『ヌビーン・グローバル機関投資家調査』の結果を発表しましたのでお知らせします。
この2年間、異常気象、市場の動揺、インフレや金利上昇による不確実性、コロナ・パンデミックの破壊的影響、社会的不平等に対する意識の高まりなど、変化が急速に進んでいます。
第2回ヌビーン・グローバル機関投資家調査は、市場・気候・社会の変化を機関投資家がどのように捉えているかを主眼として実施しました。プライベート・アセットへの投資の増加から、ポートフォリオにおける気候変動のリスクと機会への対応、人材採用やマネージャーの選択におけるDEI(多様性、公平性、包括性)の思慮まで、投資家がこれらの変化についてどのように考え、投資を行っているかを明らかにします。
市場の変化
機関投資家の64%が、現在の市場環境においてポートフォリオ戦略の再検討をせざるを得ないとしています。アジア太平洋地域の公的年金および保険会社はさらに高い74%がそのように回答しています。また、機関投資家の66%が、極端な市場変動による投資戦略の混乱について、2年前よりも懸念しており、日本では80%がそのように懸念しています。また、機関投資家の48%が弱気相場の到来を懸念しています。機関投資家の61%が、今後12ヶ月間にインフレリスクを軽減する措置を強化すると回答してい ます。アジア太平洋地域の公的機関はさらに高く、84%がそのように回答しています。機関投資家の42%が流動性リスクを増やすと回答しているのに対して、31%が減らすと回答しています。
低金利に対処するために、機関投資家の4分の3が今後2年間にインカム追求を行うとし、62%がオルタナティブ・クレジットに関心を示しています。特に、シニア・ミドル・マーケット・デット、インフラ・デット、不動産デット等の、低金利かつインフレ環境下で魅力的なプロダクトを増やすことを検討しています。投資家の17%はオルタナティブ資産に投資していませんが、そのうち半数が2年以内に投資を開始すると回答しています。日本では、投資家の30%がオルタナティブ資産を保有していませんが、そのうちの5分の4近くが1年以内に投資を検討すると回答しています。一番保有比率の高いオルタナティブ資産は不動産で、8割が保有、保有者の24%が2年以内にさらに増やすと回答しています。関心の高い物件は、産業用不動産、住宅、データセンターです。
気候変動
機関投資家とコンサルタントの79%が低炭素経済への移行は避けられないと考え、86%がこの移行が新たな投資機会をもたらすと回答しています。英国では、94%が低炭素経済への移行が避けられないと回答しています。注目すべきは、プライベート・インフラ投資を行っている機関投資家にとってクリーン・エネルギーが最も選好されている(73%)ことです。機関投資家の79%が、ポートフォリオにおける気候変動リスクに現在取り組んでいるか、今後2年間に取り組む予定であると回答しています。日本ではこの割合が高く、95%がそのように回答しています。実際、機関投資家の72%は、現在ネットゼロに取り組んでいるか、今後2年以内に取り組む予定です。
機関投資家の87%が、投資判断の際にESGファクターを考慮しているか、今後1年以内に考慮する予定であると回答しています。日本では98%がそのように回答しています。機関投資家の8割は、投資ガイドラインやESGファクターの投資実務への統合について確立している、もしくは進展していると回答していますが、エンゲージメントや教育についてはまだやるべきことが多くあるようです。教育プログラムが十分に確立されていると回答した投資家は11%で、45%は教育プログラムを構築または改良中です。
社会の変化
機関投資家とコンサルタントの52%が、投資の選択を通じて社会的不平等に影響を与えることができると考えています。機関投資家の半数(49%)が、現在社会的投資に取り組んでいるか、今後2年間に取り組む予定です。日本ではこの比率が高く、77%となっています。コミュニティ・インフラ・プロジェクト(43%)、金融包摂に取り組むフィンテック・イノベーション(42%)から、DEIの取り組み(40%)や手頃な価格の住宅(38%)に焦点を当てた投資まで、さまざまな投資機会を機関投資家は検討しています。
保険会社は、当然のことながら気候リスクにより敏感ですが、社会的投資やDEIにも強いコミットメントを示しています。保険会社は、社会的投資への意欲や投資計画を持ち(全投資家の平均49%に対し64%)、投資家が投資の選択を通じて社会的不平等に影響を与えられると考え(平均51%に対し61%)、 投資マネージャーの決定においてDEIを考慮する(平均54%に対し68%)と回答しています。投資家とコンサルタントの66%が、ESG投資にはインパクトの指標やスコアが必要であると回答していますが、それが可能であることに同意しているのは半数以下(47%)です。
DEIは明確な重点分野となっています。機関投資家やコンサルタントの約半数(49%)が、DEIを考慮した人材採用、雇用維持、人材育成について明確な目標とターゲットを設定しており、さらに27%がこれらのステップを検討しています。また、社内の取締役会や委員会に対しても目標設定を行なっています(実施39%、計画30%)。機関投資家およびコンサルタントの68%が、DEI問題に対応した投資機会を検討または模索しています。
シニア・マネージング・ディレクターでヌビーン・ジャパン代表取締役社長の鈴木康之は、「今回の調査で、世界中の機関投資家の皆さまが、市場・気候・社会の変化に対処するためにポートフォリオ戦略を思慮していることが明らかになりました。弊社は、未来を再考し、複雑化するお客さまのニーズや目的に柔軟に対応できる投資ソリューションを開発することにコミットしています。気候変動問題への対応やインカム目標の見直しなど、弊社の投資チームは日々お客さまとともに、不確実な市場において短期的な目標を果たすと同時に、長期的な変化に対応できるような体制を整えています」と語っています。
オフィス