2024年2月13日
債券
課税地方債: 好調なスタート
第4四半期(10-12月期)に、課税地方債市場は2011年以来最も高い四半期リターンを記録しました。米国連邦準備制度理事会(FRB)が2024年に金利緩和を開始するとの期待から、課税地方債は米国債に同調して上昇しました。利回りは2011年以来の高水準で年初を迎えました。投資家は、生活必需性の高い地方債への投資を通じてクレジットを選択的に追加しながら、やや長めのデュレーション特性を想定することで報われるはずです。
重要なポイント
- 12月に発表されたFRBのドットプロットは2024年の利下げを示唆し、その結果米国債が上昇したことが第4四半期の課税地方債市場を下支え。
- 魅力的な利回り水準と金利引き下げの見通しにより、長期債に対する需要が高まる見込み。
- 課税地方債は、堅調なファンダメンタルズを生かす有利な立場にある。
見通し
自信を裏付ける多くの理由
FRBの利上げ終了に対する経済の反応次第で、2024年に課税地方債市場は改善するとみられます。FRBなどは、ソフトランディングの可能性はまだあると考えています。いずれにせよ、地方債は投資ポートフォリオの安定化に役立つとみています。
FRBの猛烈な利上げペースは課税地方債利回りに影響を及ぼしましたが、クレジット・ファンダメンタルズは依然堅調です。州・地方政府は、コロナ禍において数回にわたって景気刺激策を実施した後、潤沢な資金を維持しており、歳入はコロナ前の平均を大きく上回っています。
課税地方債は2011年以来最も高い利回りで2024年をスタートし、このような堅調なファンダメンタルズを活かす十分な態勢にあるはずです。この環境では、投資家はインカムのみから魅力的なリターンを享受できる可能性があります。これは約10年間見られなかったダイナミクスです。
2023年には2年連続で地方債の市場ボラティリティが上昇し、FRBの利上げサイクル終了を待つ中で一部の投資家は市場を離れました。様子見をしている投資家がFRBの利上げ終了を確信すれば、魅力的な絶対利回りの水準が需要を喚起するはずです。
2023年の新発債供給総額は2022年比で2%減となり、2年連続で前年を下回りました。課税地方債の供給はさらに抑制され、2022年比で31%の減少となりました。投資家が予想通り強気に転じれば、過去2年間にわたり新発債の供給が乏しかったことから、需要の伸びが流通市場の供給を吸収し、スプレッド縮小のさらなるきっかけとなり得ます。
ファンダメンタルズの強さに注目すると、地方債は十分に分散された長期ポートフォリオにおいて魅力的な可能性を秘めているとみています。
経済環境
- インフレ率はここ数か月、財と住宅費の落ち着きを反映して軟化しており、2024年に向けて良好な軌道にある。
- 住宅を除いたコア・サービス・インフレは依然高止まりしているものの、下降傾向をたどり始めている。
- フェデラル・ファンド(FF)金利はこのサイクル(2023年末まで)の間に525ベーシス・ポイント(bps)上昇。FRBの金融政策は依然としてデータに左右され、コア・サービス・インフレが焦点。
- 2024年に150bpsの利下げを予想しているが、そのタイミングはインフレ率、賃金、雇用統計次第。
- 米国の成長率は、FRBの金融政策の影響が完全に及ぶ中で、徐々に低下するはず。金利動向、地政学的問題、マネーサプライの減少などが重要なポイント。
- ソフトランディングの可能性は残るが、いったん経済が一方向に動き始めると、外部からの力がない限り、そのコースに留まる傾向がある。
- FRBの金融政策終了をめぐる不透明感から、引き続き金利ボラティリティが生じる見込み。
- 経済が想定以上に減速すれば、FF金利は予想以上に低下し得る。
地方債市場の環境
- クレジットは引き続き堅調で、レイニー・デー・ファンド(不慮の事態に備えた準備金)が潤沢な水準にある。
- 歳入額は2022年のピークを下回っているが、コロナ前を上回る水準を維持。
- 地方債のデフォルトは引き続き低水準で稀であり、特異であると予想。
- 2024年を通して、供給は2023年の水準近くで推移する可能性がある。新規発行よりもクーポン、コール、満期償還の方が多いことなどを想定。
- 投資家はデュレーションを持つことを選好しており、この傾向は2024年にも続き、乗り遅れたくない投資家の間でさらに加速する可能性もある。
- 11月の力強い上昇にもかかわらず、利回りは魅力的な水準を維持。FRBの利上げ終了を投資家が確信するにつれ、2024年には需要が高まる可能性も。
- 地方債のパフォーマンスは11月に急反発。地方債は足元の金利水準から得られる高いインカムの創出に基づき、今後も魅力的なリターンを記録する可能性がある。
- 課税債、非課税債ともに、地方債の長期バリュエーションは同年限の米国債や社債と比較してクレジット・スプレッドの面で魅力的。
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