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オルタナティブ

自然資本への投資が持つインフレ・ヘッジ機能

Paddocks ploughed

先進国市場では、過去30年間にわたりインフレが抑制されてきましたが、現在のインフレ環境は投資ポートフォリオにリスクをもたらしています。2022年6月の米国の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比8.6%上昇しました。これは過去40年間で最大の伸び率であり、米連邦準備制度理事会(FRB)のインフレ目標である2%を大幅に上回っています。インフレ・リスクの高まりに伴い、投資の実質収益率が目減りし、投資家はポートフォリオの見直しを迫られています。本レポートでは、森林や農地への投資がもたらすインフレ・ヘッジ効果について分析していきます。

債券、株式などの伝統的資産クラスのリターンは物価上昇の影響を受けやすいですが、リアル・アセットはインフレに耐性があるとされています。債券市場は利回りにインフレ率が含まれており、インフレが予想外に高騰すると債券価格が下がるため、最も大きな影響を受けます。同様に、株式市場も、資本コストやリスク・プレミアムのほか、インフレ抑制のための積極的な金融引き締めによって経済成長の鈍化につながる可能性があります。

これに対して、リアル・アセットはインフレ・ヘッジ能力が高く、インフレ率を大きく上回るリターンをもたらすことが示されています。これは、食料や繊維、木材などのコモディティが、CPI などのインフレ指標の構成要素となっているため、物価が上昇すると土地資産からの収益やキャッシュ利回りが増加するという、インフレ・ヘッジが組み込まれた「ビルトイン」型資産であることが一因です。また、時間の経過に伴い、価格上昇が土地評価額に反映されていくため、リターンに占める資本評価増も拡大していきます。そのため、インフレ・ヘッジは森林や農地といった自然資本への投資における最も魅力的な特徴の一つであると、投資家から評価されることが多いです3。

世界経済の脱炭素化に向けた長期的な取り組みが進む中、カーボン・クレジットは企業や団体の気候変動対策目標の達成に向けた効率的な取り組みに貢献します。短期的には、排出削減を補完する目的で、削減が困難な排出量を「オフセット」する手段として、カーボン・クレジットを利用することができます。また、長期的に生産方式やサプライ・チェーンの脱炭素化が進めば、2050年のネット・ゼロ目標の達成に向け、カーボン・クレジットを残余排出量の相殺に利用することができます。

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